通信制高校と聞くとどうしても私立高校が多いのではないか、学費も高いのではないかと感じますよね。結論からお伝えすると、通信制でも公立高校と私立高校ではやはり学費に差があります。どちらも「高等学校就学支援金」という国からの支援を利用できますが、いくつかの注意点があります。
通信制高校の学費はどのくらい?就学支援は利用できるの?

通信制高校の学費は、公立高校でおよそ4~6万円、私立高校でおよそ25万円~と大きな開きがあります。さらに私立の通信制高校でサポート校の利用も希望した場合は、サポート校への学費負担も加わりますので高額になりがちです。しかし高校無償化によって「就学支援金制度」が設けられ、2020年からは私立高校への授業料支援拡充もされましたので、私立の通信制高校でも学費を抑えられるかもしれません。
高等学校就学支援金制度とは
高校に通う子どもの授業料支援を受けられる制度で返済不要です。対象となるのは日本国内に住所を有する高校生がいる家庭で、保護者等の所得基準を満たしている場合、申請手続きしたのちに受けられる制度です。2026年からは所得制限が撤廃される予定で、本格的な「高校授業料の無償化」がすすむようです。
一時的な家庭での負担は必須
「就学支援金」の申請手続きは4月ですので、入学前に授業料納入が実施される場合は間に合いません。就学支援金は国から直接生徒本人(保護者)が受け取るのではなく、生徒本人(保護者)に代わって学校が受け取り、学校から家庭に授業料(就学支援金)が還付される仕組みですので、タイムラグがあります。入学前の支払いは個々で必要だと心得ておきましょう。還付時期は8月以降になることが多いようです。

サポート校への学費に支援金は利用できない
通信制高校とは別にサポート校へ通う場合ですが、サポート校への学費については対象外となります。「就学支援金」は「高校の授業料へ充てる支援金」ですので、通信制高校の授業料に対して利用できます。また、通信制高校の授業料と就学支援金に差額がある場合、差額分は生徒本人(保護者)が支払うことになります。
就学支援金がもらえる期間はいつまで?
通信制高校在学者への支給期間は48ヶ月です。途中休学する場合は支援金の給付を止めることが必要ですので、学校に連絡しましょう。復学時に再開できます。なお全日制では36ヶ月、定時制では48ヶ月となっています。全日制から通信制へ転入する場合などでも就学支援金制度は利用可能で、支給期間が変わってきます。
通信制へ通う高校生がいる家庭で利用できる支援金制度は他にも
通信制高校へ通う子どもがいる家庭に利用できる支援金制度は「就学支援金制度」のみではありません。おもに私立向けの制度となりますが挙げておきます。
①高校生奨学給付金・・・高校生のいる低所得世帯を対象に授業料以外の教育費負担を支援する制度で、各都道府県で制度の詳細が違ってきます。先にお伝えした「高校就学支援金制度」と併用可能ですが、申請はそれそれで必要です。
②都道府県別修学支援事業・・・都道府県別で独自の制度運用をしている地域もあり制度名と内容が変わってきます。いくつか例を挙げると、
- 東京都 私立高等学校等授業料軽減助成金事業(都の助成制度)
- 埼玉県 私立学校の父母負担軽減について
- 神奈川県 私立高等学校等生徒学費補助金について
- 大阪府 私立高校生等に対する授業料等の支援について
- 愛知県 愛知県私立高等学校等授業料軽減補助金
- 広島県 令和7年度 私立高等学校等授業料等の負担軽減について
- 福岡県 就学支援・奨学金等
- 北海道 教育費の負担軽減について
お住まいの地域で支援事業が行われているか確認してみましょう。
通信制高校の教育費は授業料だけではありません
通信制高校を検討するにあたって学費は私立高校の方が高くなりますが、支援制度を利用することで負担を軽減できる可能性があります。支援制度の申請時期は4月以降となりますので、一時的な家庭負担は必要になりますが、どのくらいの支援が受けられるのか確認してみてはいかがでしょうか。
また、国の支援制度である「高等学校就学支援金」「高校生奨学給付金」の他に、各都道府県独自の支援制度が設けられている場合もありますので申請漏れがないように、前もって把握しておきましょう。
通信制高校の教育費は教科書代や通信費、遠方の通信制高校の場合はスクーリングにかかる旅費など授業料だけではありません。なにかと負担の多い高校教育費を支援してくれる制度があるのはありがたいことです。今後すすむであろう「完全高校無償化」に期待が寄せられます。